
11月24日(月・祝)。第4回Tierra Eco & Future Summitを開催しました。
祝日ということで今年も多くの保護者の方にご視聴いただきました。
今年の基調講演には、能力開発センター加古川本校の卒業生で、特定非営利活動法人ジャパンハート、プロジェクトディレクター、看護師・助産師の河野朋子さんにお越しいただき、Tierra Eco & Future Summit開始以来初の海外と接続して実施しました。
河野さんは現在ミャンマーで活動されています。ミャンマーでは以前より、社会的な混乱や政治的な緊張が高まる時期に、人々が自由に連絡を取り合ったり、国内の状況が広く知れ渡ったりすることを防ぐため、政府や関係機関が意図的に国民のインターネット接続や情報発信を制限する傾向があるため、ライブ接続は一部通信が途切れたりする部分が見受けられました。
このような状況を見越して事前に講演動画をお送りいただいていましたが、不安定な状況をリアルに感じてほしいという思いから敢えてライブで実施いたしました。何もかもスムーズにいくことが当たり前ではない国がたくさんあり、そのような国で働く河野さんの決意、生き方、覚悟などを感じてもらえたのではないかと思います。講演では、看護師・助産師として長年にわたり国際医療の現場、特にミャンマーで活動されてきた河野さんのキャリアパスと、その中で得られた深い学びを共有していただくものでした。河野さんは、中学時代には想像もしていなかった出来事(能開での学び、海外勤務、国際結婚、肝臓移植プロジェクトへの関与など)が、一つ一つの出会いや経験を通じて連鎖し、現在の人生を形作っているという「人生の偶発性」の重要性を強調されました。
看護職選択の動機と患者中心のケア
河野さんの看護師・助産師選択の動機は、「人と深く関わる究極の仕事」への志向にあります。高校での一日看護師体験において、マニュ
アルを超えて個々の患者の感覚やニーズ(例:入浴時の快適な温度)に合わせて判断を下すことの重要性に気づき、「患者中心のケア」が
看護の本質であることを深く理解されました。医療は治療行為だけでなく、一人一人の人生に寄り添う人間的な関わりが不可欠であると
いう点が、重要な学びとして挙げられます。また、ミャンマーの医療現場は、停電や断水が頻繁に発生し、簡素な手術室で一日10〜20件
の手術を少人数(例:6人体制)で行うという、設備・資源が極度に不足した厳しい環境にあります。少ないスタッフで手術、術後ケア、滅菌、
薬剤管理までを分担するため、スタッフには高い柔軟性、迅速な学習、多能工化が必須となります。国際医療の仕事は華やかなものでは
なく、先天異常の修復や甲状腺手術といった地道な治療が中心ですが、その積み重ねが現地医療者の能力向上につながり、2019年には
ミャンマー初の小児肝臓移植成功という大きな成果を結実させました。
医療の核心:心を救うことの意義
治療行為が叶わなかった命の重さと向き合い続ける中で、河野さんは医療従事者の役割が「病気を治すこと」に留まらないことを痛感さ
れています。患者や家族との一瞬一瞬の触れ合い、声かけ、心理的な寄り添いこそが、残された家族の心を救い、彼らが前を向く力になる
こと、そしてこれが「医療の核心」であると語られました。
やらずに後悔するよりも、失敗してもチャレンジした経験が人生の財産になる
1人1人の人間には1つ1つの人生がある、人生は自分自身のものであると、いったこととか人生というのは自分の生きる意味を探す旅であり、困難な決断に直面した時、失敗する可能性があっても行動を選ぶことは、挑戦を避けて後悔を抱えるより価値がある。
人生は何があるかわからないから面白いので、ぜひたくさんのことにチャレンジしていってほしい、と締めくくられました。