第2回目の開催となった2023年のサミットは、障がいを持つ弟に冷たかった社会を「誰一人取り残さない」「やさしい社会」に変えたいという志を10歳の時から持ち、明石市長を12年務める中でその想いを実現してきた泉房穂先生にご講演いただきました。
ご自身の実体験とともに、今小中高校生の皆さんにもたくさんのメッセージをいただいたのでご紹介します。
■勉強について
僕自身はお金のない家庭に育ったので奨学金の充実した大学を目指しました。
塾に行くお金もなかったのですが、東大に現役合格できるだけの勉強はしたつもりです。
特に受験直前は全受験生の中で自分が一番集中して勉強していると自負できるくらい、人の2倍3倍集中して勉強したと思います。
僕は基本的に勉強は好きなんです。
食事が体の栄養として身に着くように、勉強はすればするほど自分の知識として身に付き、それが生きていく上で様々な判断をしていく材料になる。
だから、塾に行かせてもらえている皆さんは僕からしたらとても恵まれていると思うし、食わず嫌いで勉強しないのはもったいないことだと感じます。
目の前の勉強で栄養を自分の中に取り入れていくことは、自分自身を強く、たくましく成長させるし、自分自身の可能性を広げていくものです。
意見の衝突
明石市長として施策を実施していくにあたって、たくさんの反対を受けました。
でもすぐに全員に理解してもらえるとは最初から思っていなかったし、自分の考えは正しいという自信はあったので、議会で全員に反対されても気にしませんでした。
自信があった理由は実現しようとした予算配分はヨーロッパでは当たり前のいわばグローバルスタンダードだったからです。
日本しかみていないとわからないけれども、世界に目を向けると「日本では当たり前でも世界的にはおかしい」こともある。
国に先駆けて取り組んだ施策で結果が出ると周囲の見方も変わってきて応援してくれる人が増えました。
リーダーとして大切なこと
人はそれぞれ違います。リーダーはこうあるべき、というものもないと思っています。
自分自身も得意な分野に特化してやってきただけで、この話を聞いてくれている皆さんに僕のやり方を押し付けるつもりはありません。
自分は0から1を作るのが得意だったけど、1を2,3と発展させていくことは苦手です。
だから、1を作った後は別の人に任せます。
僕の後任の明石市長も、調整型のリーダーです。
大事なことは、リーダーシップは自分の得意なところで発揮し、苦手なところは得意な人に任せていいと思うことではないでしょうか。
小中高校生の皆さんに伝えたいこと
人生に大切なのはやさしさとかしこさとほんの少しの強さ。
やさしさとは「想像力の翼」。人の痛みは本人にしかわからないけど、それを理解した上でできるだけ理解しようとその痛みを想像できること。
かしこさとは「真実を見極める力」。メディアの報道、誰かの言っていることがすべて正しいとは限らない。本当はどうなんだろうと自分の頭で考え、調べることです。
ほんの少しの強さとは、「あきらめないこと」。人はみなスーパーマンではないので、ずっと強くいられるわけではない。でも、もう少し諦めずに頑張ってみようと思うことが大事です。
この3つを大切にして、自分自身の人生を、自分らしく生きてほしいと願っています。